
どうも、ふわです。
『咲良は上手に説明したい!』を読んだんですが、かなり良かったです。
最初は、咲良がテクニカルライターという仕事に出会って、少しずつ成長していく話なんだろうなと思って読み始めました。
もちろんその部分も良かったんですが、読んでいくうちにそれだけじゃなかったんですよね。
仕事に対する熱さや、それぞれの立場で働く人の背景、登場人物の魅力や個人のストーリーにどんどん感情を持っていかれて、気づいたら意味も分からず涙が流れていました。
小説なのに場面がかなり頭に浮かびやすくて、仕事の説明も感情が動く場面も、すっと入ってきました。
新社会人の人とか、仕事がしんどかった時期がある人にはかなり刺さるんじゃないかなと思います。
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『咲良は上手に説明したい!』はどんな小説か
この作品は、主人公の石川咲良がテクニカルライターという仕事に出会って、少しずつ前に進んでいく物語です。
全体としては短編3話でまとまっていて、かなり読みやすいです。
テンポもよくて、重すぎないけど、刺さるところはちゃんと刺さる、そんな感じでした。
咲良は新卒で入社した会社で営業になりますが、引っ込み思案でメンタルもあまり強くなく、その仕事が合わずに退職してしまいます。
その後、駅員のバイトをしている中で出会うのが、テクニカルライターの朝倉響です。
自分を助けてくれた朝倉のことを調べていくうちに、テクニカルライターという職業を知って、自分も朝倉みたいになりたいと思って進んでいく流れがすごく良かったです。
仕事に自信を持てなかった咲良が、少しずつ「こうなりたい」という気持ちを持って変わっていくのが、この作品の大きな魅力だと思います。
テクニカルライターという仕事が普通に面白い
自分はこの作品を読むまで、テクニカルライターという仕事をほとんど知りませんでした。
ざっくり言うと、専門的で分かりにくい内容を、一般の人にも伝わるように整理して文章にする仕事です。
しかも、ただ説明文を書くだけじゃなくて、どこを目立たせるか、どこを大きく見せるか、どう配置すれば伝わりやすいか、みたいなデザイン的な一面もあるらしいです。
自分が知らない職業について知るの無茶苦茶テンション上がりますよね。
自分は普段マニュアルをあまり読まない人間なんですが、逆に言えば、そういう人にも伝わるように工夫している仕事なんだなと思うと、一気に見え方が変わりました。
しかも作中では、修正前と修正後の文章の違いも出てきて、どう直すと分かりやすくなるのかがかなりイメージしやすいです。
1文の長さを意識するみたいな基本的な話から、どうすれば伝えたい相手に届くのか、という視点まで入っていて、普通に勉強になりました。
仕事ものとして面白いのはもちろんなんですが、仕事に向き合う姿勢そのものがちゃんと格好よく見えるのがこの作品の良さだと思います。
登場キャラがかなり良い
石川咲良
主人公の咲良は、身長174センチの長身で歴史好きというのも印象に残りました。
ただ、本人は「歴女」と言われるのはあまり好きじゃないみたいなんですよね。
そこも含めて、属性だけで雑にまとめられない感じがして良かったです。
しかも毎日のお昼休みに、新選組の斎藤一の聖地にお参りに行っているのもかなり好きでした。
ああいう細かい描写があると、一気にキャラが立つなと思います。
最初は仕事が合わずに苦しんでいたのに、テクニカルライターという仕事を通して、少しずつやりがいや前向きさを見つけていく姿がかなり良かったです。
特に、新社会人としてうまくいかなかった経験がある人や、仕事が合わないと感じたことがある人にはかなり刺さると思います。
「最初からできる人」の話じゃなくて、悩みながら進んでいく人の話だからこそ、感情移入しやすかったです。
朝倉響
朝倉はショートカット美女で、日本ではかなり著名なテクニカルライターです。
会社の中でもエース的な存在で、自分の仕事に誇りを持っているのがすごく良いです。
ただ仕事ができる人というだけじゃなくて、咲良にとっての憧れとして描かれているのも良かったです。
「こんな人に助けられたら、自分も変わりたいと思うよな」と自然に思えるキャラでした。
しかも面倒見もかなりいいんですよね。
咲良にかける言葉もいちいち男前で、「プレッシャーに潰されるぐらいなら、そんなもの捨てちゃいなさい。いや私が預かっとこう。あなたが私みたいに経験を積んで、調子に乗って、勘違いするようになったら、返してあげる」というセリフは、朝倉の格好よさがかなり出ていたと思います。
でも、ずっと強くて完璧な人として描かれるわけじゃなくて、ちゃんと気分が落ちるような人間っぽさもあるんですよね。
そこも含めて、かなり魅力的なキャラでした。
柳生怜と北条都もかなり好き
営業部長の柳生怜もかなり良かったです。
見た目はいかにも仕事ができる厳しそうな人なんですが、実際は面倒見がよくて優しい。
こういうキャラはやっぱり強いです。
あと、北条都のエピソードもかなり好きでした。
大手企業のテクニカルライターで、お嬢様っぽい見た目なのに一児の母というのも印象に残ります。
案件に負けてしまう流れ自体は悔しいんですが、どうしてもその仕事をやりたかった理由が、自分の仕事を子どもに誇りたかったからというのが本当に良かったです。
ただ仕事をしている人ではなくて、ちゃんと生活があって、誇りがあって、報われたい理由があるんだと分かるのがすごく良かったです。
ああいう理由を見せられると、一気に好きになります。
しかも負けて悔しくて泣くシーンまで含めて、かなり良かったです。
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2話はAEDの話がかなり印象に残った
2話は、普通に読んでいて勉強になりました。
特にAEDまわりの話は、自分が知らないことだらけで、ちょっと恥ずかしくなるくらいでした。
倒れた人の近くに居合わせるバイスタンダーになる可能性って、普通にあると思うんですよね。
しかも、その場に居合わせた人の行動が生存率にかなり関わってくる。
実際、消防庁の「令和7年版 救急・救助の現況」では、一般市民が心肺蘇生をした場合の1か月後生存率は15.3%、さらに一般市民がAEDで除細動を行った場合は53.6%となっています。
数字で見ると、AEDを使う意味はかなり大きいです。
この作品を読んで、自分は「知っているかどうかで行動が変わる話だな」とかなり強く思いました。
女性へのAED使用はためらわないでほしい
ここは特に印象に残ったところです。
女性にAEDを使うことへ、ためらいを持つ人は多いと思います。
でも、日本救急医療財団の「救急蘇生法の指針 2020(市民用)」でも、女性であっても電極パッドを正しく貼ることを優先するよう案内されています。
また、仙台市の案内でも、女性でも男性でもAEDはためらわず使用してよく、服をすべて脱がさなくても配慮しながら使えると説明されています。
このあたりは、知っているだけでもかなり違うと思いました。
変に「リスクがあるかもしれないからやめておこう」と考えるのではなく、命を助けるために必要な行動をするという気持ちを持つことが大事なんだと思います。
女性へのAEDの使い方は具体的に知っておきたい
ここもかなり勉強になりました。
AEDの電極パッドは、胸の右上と左下側の素肌に直接貼る必要があります。
なので、下着の上から貼るのは駄目です。
ただ、だからといって服を大きく脱がせる必要があるわけではなくて、必要な部分だけを素早く出せばいいというのは覚えておいた方がいいと思いました。
- 胸の右上と左下にパッドを貼る場所だけ肌を出す
- 下着や服が邪魔なら、ずらすか必要なら切る
- 服を全部脱がせることより、早く正しい位置に貼ることを優先する
- 可能なら上着やタオル、人の壁などで周囲から見えにくく配慮する
つまり、「配慮しながら使う」はできるけど、「配慮のために使わない」は違うということだと思いました。
子どもでは男女差が目立たず、高校生以上では女性への使用が少なくなる
この点もかなり重い話でした。
子どものうちは男女差があまりないのに、高校生以上になると女性へのAED使用が少なくなる、という話もかなり印象に残りました。
助ける側が無意識にためらってしまうことで、救命のチャンスに差が出てしまっている可能性があるわけで、これはかなり大きな問題だと思います。
もちろん、その場で迷う気持ち自体は分かります。
でも、だからこそ「何かあったら怖いから使わない」ではなく、「助けるために使う」という意識を持つことが大事なんだと思いました。
ここはこの作品を読んで、自分もかなり伝えたいと思ったところです。」
3話の空島製作所の話がかなり良かった
3話も本当に良かったです。
マニュアルは利用者のためのものだけど、そこに製作者の思いまで乗せていい、という流れがすごく好きでした。
ただ正しく説明するだけじゃなくて、その製品がどんな思いで作られたのかまで伝わると、文章の意味って一気に変わるんだなと思わされます。
空島製作所の歴史や、職人として長く生きてきた中で、なかなかかなえられなかった夢がかなっていく流れはかなりずるかったです。
仕事って、目の前の作業だけじゃなくて、その人がそこに込めてきた時間とか、悔しさとか、かなえたかったことまで含まれているんだなと感じました。
そこが伝わった瞬間に、一気に感情を持っていかれました。
あれは普通に泣きます。
最初は咲良の成長物語として読んでいたはずなのに、いつの間にかいろんな人の仕事に対する思いや背景に心を動かされていた、というのがこの作品のすごく良かったところでした。
この小説が刺さる人
『咲良は上手に説明したい!』は、こんな人にかなりおすすめです。
- 新社会人の人
- 今の仕事に少ししんどさを感じている人
- 仕事が合わないと思ったことがある人
- 文章を書くことや伝え方に興味がある人
- 誰かの努力や思いが報われる話に弱い人
特に、仕事がしんどかった時期がある人にはかなり合うと思います。
仕事そのものの面白さだけじゃなくて、働く中で人がどう救われるかまで描いてくれる作品でした。
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まとめ
『咲良は上手に説明したい!』は、テクニカルライターという仕事の面白さを知れるだけでなく、登場人物の成長や仕事への思いまでしっかり描かれた小説でした。
読んでいて勉強になるし、普通に感動もします。
特に2話のAEDの話は、小説として面白いだけじゃなく、知っておいた方がいいことまでちゃんと残してくれるのが強かったです。
そして3話は、仕事に向き合ってきた人の熱さや背景がかなり刺さりました。
最初は咲良の成長を楽しみに読んでいたんですが、気づけばいろんな人の仕事への誇りや物語に感情を持っていかれていました。
新社会人の人や、仕事に悩んだことがある人にはかなりおすすめしたい小説です。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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