ふわ日記|将棋と読書とゲームのブログ

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【ネタバレなし書評】誰が勇者を殺したか|不器用な勇者の生きざまに、最後は涙した

誰が勇者を殺したか

 

どうも、ふわです。

 

今回は、

タイトルに惹かれて、

何気なく読み始めたら、

読み終わったあと、しばらく何も手につかなかった本の話です。

 

それが、

誰が勇者を殺したか

 

 

タイトルだけ見ると、

いかにも

ミステリー風のファンタジー

という感じですが、

 

読んでみると、

これは

「勇者になってしまった、不器用な男の物語」でした。

 

魔王を倒したあと、勇者はなぜ死んだのか

 

物語は、

とてもシンプルな疑問から始まります。

 

魔王を倒したあと、

なぜ勇者は死んでしまったのか。

 

魔王との最終決戦で命を落とした、

というわけではありません。

 

魔王討伐後、

世界は救われ、

物語は「めでたしめでたし」で終わる。

 

……はずだった。

 

しかし、

勇者アレスは、

その後に死んでいる

 

そして、

勇者を殺せる存在がいるとすれば、

それは

かつて同じ勇者パーティーにいた者たちだけ。

 

物語は、

剣聖レオン、

聖女マリア、

大賢者ソロンに

それぞれインタビューする形で進んでいきます。

 

ただし、

彼らは全員、

勇者の死の真相を知っているはずなのに、

決定的な部分については、必ず言葉を濁す

 

その違和感が、

この物語を

最後まで引っ張っていきます。

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不器用すぎる勇者・アレス

 

この作品の一番の魅力は、

間違いなく

勇者アレスという人物です。

 

彼は、

才能に恵まれた勇者ではありません。

 

剣も、

魔法も、

人並み以下。

 

普通なら、

どこかで諦めてしまうような場面でも、

アレスは、ただ黙って挑戦し続ける

 

それは決して、

格好いい努力ではありません。

 

むしろ、

遠回りで、

効率が悪くて、

見ていて痛々しいほどです。

 

勇者パーティーの3人が語るアレス

 

剣聖レオンは、

「俺が世界一だ」

という価値観を疑わない男。

 

訓練でも、

一度でも

圧倒的な実力差を見せつけられた相手は、

二度とレオンに挑もうとしない

 

それが、

この世界の常識でした。

 

でも、

アレスは違った。

 

何度負けても、

何度叩きのめされても、

また剣を持って立ち向かってくる。

 

レオンにとって、

それは理解しがたい行動だったはずです。

 

それでも、

何度でも挑戦してくるその姿は、

剣の才能とは別のところで、

強烈な存在感を放っていました。

 

聖女マリアは、

外面はいいものの、

性格は決して優しくありません。

 

アレスを雑に扱い、

無茶な試練を平然と与えます。

 

例えば、

真冬の川に石を投げ込み、

「その石を探してきなさい」

と命じる。

 

それが、

治癒魔法を習得するために必要な修行

だと言われれば、

アレスは疑いません。

 

そして実際に、

3時間かけて、

凍える川の中からその石を探してしまう

 

普通なら、

どこかで「おかしい」と思う。

 

でもアレスは、

与えられた試練を

ただ黙ってやり切る。

 

その姿を見て、

マリアもまた、

内心ではアレスを特別な存在として意識するようになります。

 

大賢者ソロンは、

魔法の天才ですが、

自分以外にほとんど興味がありません。

 

才能のないアレスを、

何度も蔑みます。

 

それでもアレスは、

「魔法を教えてほしい」

と頼み続ける。

 

折れたソロンが魔法を教え、

才能がないアレスが、

それでも

初歩の火の魔法を使えるようになった瞬間

 

ソロンは、

無駄になるかもしれない挑戦を

続ける行為そのものに、

美しさを見出します。

 

そして、

アレスにだけは、

少しずつ心を許すようになる。

 

なぜ、勇者は死ななければならなかったのか

 

物語の終盤、

少しずつ

真実が見えてきます。

 

そして分かるのは、

これは

「誰が殺したか」の話ではなく、

「なぜ、そうならざるを得なかったのか」の物語だということ。

 

勇者アレスの生きざまを理解したとき、

この結末は、

残酷でありながら、あまりにもきれいでした。

 

読み終わったあと、

気づけば、

少しだけ目が潤んでいました

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努力が報われないことを知っている大人にこそ

 

この本は、

努力すれば必ず報われる、

という話ではありません。

 

むしろ、

報われない努力の方が多い。

 

それでも、

挑戦し続けた男がいた、

という事実を、

静かに描いています。

 

だからこそ、

ある程度歳を重ねた人の方が、

刺さると思います。

 

ちなみに、

この作品は

続編もすでに刊行されていて、

現在は3巻まで出ています

 

シリーズ作品ではありますが、

それぞれ1冊ごとに、

きちんと物語として区切りがついているのも、

個人的には好印象でした。

 

無理に続きを読まなくても、

まずはこの1冊だけで、

しっかりとした読後感があります。

 

そのうえで、

「もう少し、この世界を追いたいな」

と思えた人だけが、

続きを手に取ればいい。

 

自分は結局、

続きもすべて読んでしまいましたが、

最後まで読んでよかったと、

素直に思えました。

 

もし、

ファンタジーが好きで、

少しだけ

不器用な物語を読みたいなら。

 

とてもおすすめできる一冊です。

 

※この物語が気に入った方へ。
続編もすでに刊行されており、どれも1冊ごとに物語としてきちんと完結しています。

 

※お金が大好きな別の勇者の物語。

 

※別の勇者と姫の物語。